2010年10月アーカイブ

アートスペース mograg garage(モグラグガレージ)



mograg garage(モグラグガレージ)
mograg garageは2008年2月、東京・国分寺にガレージを改装した
小さなアートスペースとして誕生しました。

文字通りのガレージなので、気持ちのいい日が射し込む時もあれば、
時にはどーしようもない雨風が吹き込むことだってあります。

だけど、そこに魅力的な作品と感性豊かな鑑賞者がいれば、そこはアートスペースとなります。
既存の体裁の整ったスペースで展示・鑑賞することだけが、アートとの出会いの場ではないはずです。
作品のある空間=アートスペースであり、表現する人とそれを受け取る人が出会うことのできる場所
となると考えています。 人が繋がり、新しい発見が生まれ 、そしてそれらが持つ意味を丁寧に
みつめることを大切にしています。

このガレージを基地として、心が揺さぶられてワクワクするようなものを様々なカタチで発信して
いきたいと思います。
a_photo01.jpg



















mograg MAGAZINE Vol.02

★アートスペースmograg garageがお届けする、ビジュアル至上主義者たちのためのアート&カルチャーマガジン!!!/mograg magazine は、毎号『テーマ』を設け、そのテーマに基づいたアーティストの新作による誌上展覧会をメインコンテンツ とし、その他、様々なライターやアート関係者によるコラム、マンガやアートレポなど盛りだくさんの内容でお届けする、視覚的感覚的エンターテイメントと思考的エンターテイメントの両軸から「アートの感性」が喜ぶ雑誌です。 /今回のテーマは『ホラー Horror』です。"ホラー漫画、ホラー映画、ホラー小説など " 恐怖 " をテーマにしたエンターテイメントは、怖くて怖くてしょうがないものの、そ の先を知らずして前には進めないという何とも矛盾した感情を生み出す。 その瞬間生成される想像力は、もしかしたら自分の発想を超えたスペクタクルな " 飛躍 " をもたらすかもしれない。"目次:【Special Feature】「山口昌弘という男」山口昌弘/お化け屋敷秘話&遊園地今昔@花やしき/【対談】田中六大×土屋萌児/みなみりょうへい×トンチ /山さきあさ彦×鈴木常吉/【評論】「ヨシカワショウゴを誤読する」井口啓子/【ロングインタビュー】「黒瀬陽平の蒔いた種」黒瀬陽平 /【BUFFET Columun】BAIYON/梅ラボ/黄倉未来/中村 賢治/スメリー/ドキドキクラブ/ドラムの人/石川翔平/JAQWA/【カルチャー】小林銅蟲/田中六大/星くずのキラメキ/藤原マヤ/堀道広

[2010 年10月/B5/123頁/¥1,260] イラストレーション=坂本渉太/ゴウダヨウスケ写真=斎藤裕也 編/発=モグラグガレージ

WHAT is LOW HIGH WHO??



先日10月3日にLOW HIGH WHO?というインディーレーベル主催の「模索舎インストアライブ」なるものが行われ、詩の朗読や弾き語り、ピアノとの即興セッションなど、多様なアーティストがパフォーマンスを披露しました。主にネット上での告知にもかかわらず、多くのお客さんに来ていただき、本屋さんならではの距離感と空気の中、無事イベントを終えることができました。イベント終了後はお客さんも出演者もかまわず誰かの差し入れたバーボンで乾杯するという、どこまでもアットホームな風が吹いていました。

今回はこの場を借りてLOW HIGH WHO?(以下LHW?)というインディレーベルについて私、LHW?一年目の新人、不可思議/wonderboyが紹介をさせて頂きます。
私が初めてLHW?代表のParanelさんと出会ったのは今年5月の半ば、一人暮らしを始めたばかりで炊飯器もなく、あらゆる煩雑な手続きに発狂しそうになっていた時期、がやや過ぎた時期でした。私はネット上でのやり取りでしかその存在を知らなかったParanel氏について、そのパラネルという響きからおそらく髪の毛はストレートでロン毛、時折目にかかってしまう前髪を振り払う仕草で女子たちの心をつかみ、長らく海外にいたせいか「はじめまして、Paranelです。」と言うときの“Paranel”だけ異様に発音が良い、細身ですらっとしたオノ・ナツメの漫画に出てくるような人物像を描いていました。ですが池袋のスタジオで、Tシャツに大きなリュックサックを背負ったどことなく訛りのあるしゃべりをする彼に出会ったときには良い意味で期待を(あるいは不安を)裏切ってくれました。
rouhightwho.jpgLHW?はそんな代表のParanelをはじめ、トラックメイカーのEeMuやラッパーのYAMANE、バンドや詩人など、多種多様ながらもどこか共通点を見いだせるようなクリエイター陣が集まっています。ですので自然と、扱う商品もCDから詩集、絵画、最近ではTBSドラマのサントラまで色とりどりの万華鏡となっています。どことなくおしゃれな感じが漂っていて、その「LOW HIGH WHO?」という名前も南米のインディオの「愛している」という言葉を英語に捩ったものだそうです。中国語のウォーアイニーみたいなもんだと思います。おしゃれだ。かくいう僕もやはりおしゃれなので声をかけられたに違いありません。ユニクロと無印良品を全力で駆使したそのスタイルは唯一無二だと自負しております。(自分でも何を言っているのかわかりません)
ここまで読んで興味をもたれた方は是非ぐぐっとググって頂きたいものです。模索舎インストアライブも第二弾があるとかないとかで私たちLHW?も模索舎同様、街にあふれる平積みにされた商品では満足できないあなたを都会の片隅でお待ちしております。

文・不可思議/wonderboy(LOW HIGH WHO?)



○私的音楽研究その壱



○私的音楽研究その壱

ご専門は何ですか?と聞かれたら、「パキスタン音楽」ということになるのだろうか。正直自分でもよくわからない。

うちの雑誌はよく、「ワールド・ミュージック」やら「民族音楽」の雑誌と言われる。まぁ、的外れではないし、一見する限り正しい見方のように思えるが、私はそんな風に思って作っているつもりは全くない。これっぽっちも。

なぜかというと、元々は私自身ロックや日本のポップスばかり聞いているどこにでもいる少年だったし、今でもロックは大好きだが、大学に進学して南アジア地域(インド亜大陸を中心とした周辺諸地域)の研究をする中で、インド音楽などにも触れるようになり、さらに様々な音楽への興味・関心が広がり、「音楽そのもの」がさらに好きになったからである。よく人から聞かれることなのだが、「やっぱり、民族音楽が好きなんですか?」と聞かれると、ついついムキになって否定してしまう。周りにそういう風に決め付けられるとぶっ壊したくなる悪い癖が昔からある(笑)。違うんです!私は音楽そのものが好きなのであって、決して民族音楽「だけ」を追っかけているわけではないのです!

もし、この国に「ロック好きな人はロック以外聞いてはいけない」「民族音楽が好きな人は民族音楽以外聞いてはいけない」という法律でもあれば別だが、そうではなく、どんな音楽でもすべての人に平等に開かれている。それをセレクトして限定してしまうのはあくまでもその人個人である。だから私はこう考えてしまう。

「ロックが好きだけど、クラシックも好き、だけど、ジャズも好きだし、民族音楽も好き。というかやっぱり私は音楽が好き。これだけ世の中に音楽が溢れているのにわざわざ自分の好きなジャンルを限定して聞かず嫌いをするなんてそんなのは人生の半分を損しているようなもんだ!」

まぁ、こういったわけであのような節操のない音楽雑誌を作っているわけである。

・・・

さて、今回はせっかくなので、私的音楽研究ということでパキスタン音楽について少し紹介してみたい。一口にパキスタン音楽といっても当然他の国と同様、様々な形式・ジャンルの音楽が存在する。インド・パキスタン共有財産である古典音楽から西洋に引けをとらないロックやポップスまで驚くほどの魅力に溢れた音楽文化が咲き乱れている。その中でも今回はOarのNo.002でも紹介したアフガニスタンとの国境沿いの街ペシャーワルでの音楽体験について詳細に語ってみたい。

ペシャーワルはパキスタンのNWFP(北西辺境州)にあるアフガニスタンとの国境沿いの街で、ハイバル・パフトゥンクワ州の州都である。しばしば紛争の舞台ともなり、国際テロ組織アルカーイダやターリバーンの温床ともなっている地域としてニュースなどでもしばしば取り上げれる。住人のほとんどがパシュトゥーン人である彼らの共通語は民族言語であるパシュトゥー語である。
イスラーム教においては、預言者ムハンマドの言行から音楽がしばしばマクルーフ(禁忌すべきもの)として問題視されることがある。ムハンマドの言行録『ハディース』の中に、「太鼓を壊せ」や「預言者が音楽を耳にしたとき両の手で耳を塞いだ」といった記述が見られるからである。しかし、こういった記述は音楽そのものを禁止することを必ずしも明示するものではないし、イスラーム教徒の聖典である『クルアーン』の中にも音楽を禁止するような記述はどこにも見当たらない。それにも関わらず、厳格なイスラーム教徒はそういった記述を根拠に音楽をハラーム(神によって禁止されたもの)として音楽を嫌う傾向がある。ペシャーワルという街もそういった例に漏れず、2002年10月の州総選挙の際に誕生した超保守派のムッタヒダ・マジュリセ・アマルMuttahida Majilis-e Amal(統一行動評議会)が選挙に勝利し州の実権を握るようになると、公的な機関での音楽演奏が禁止され、CDショップの爆破などが黙認された。
政情不安定で、現地の人々にも『ペシャーワルへ行くのはよしたほうがいい』とたびたび言われたが、人間というのはダメといわれると返ってそうしたくなるもので、私もその例に漏れず好奇心を抑えきれずに2008年の取材の際にペシャーワルにも足を踏み込んでしまった。しかし、これによって得られた音楽的収穫は想像以上のものだったということを今になって改めて再認識している。


oar_2_1.jpgペシャーワルに着いた翌日、朝から街中を歩いているとある一人の青年から日本語で話しかけられた。まさかペシャーワルの街中で日本語を耳にするとは思いもしなかったのでだいぶ驚いてしまったが、話をしてみるとどうやら胡散臭い人物ではないらしい。ジャーナリストであるという彼は自分の写真入の身分証を見せてくれ、しばらく街中を案内してくれた。音楽を探してこの街に来たんだということを話すと、彼はある人物のところへ私を連れて行ってくれた。そこで出会ったのが、この時の取材のキーマンとなる人物「プリンス」こと、マヒールッラー・ハーンMahir ullah Khanだった。彼はこの街でThe World Welfare OrganizationというNGOを組織し、“World Probrems”という雑誌も発行している人物だった。彼にペシャーワルの音楽が聞きたいと話すと、早速私を知り合いの古典演奏家のもとへ案内してくれた。



まず最初に出会ったのが、タハマーシュ・ハーンという古典演奏家で、彼はバーンスリー(竹笛)とラバーブという弦楽器の演奏を聞かせてくれた。私がスーフィー音楽(イスラーム神秘主義音楽)を聞きたいとリクエストすると、ペシャーワルに伝わる伝統的な民話をモチーフにした楽曲をいくつか聞かせてくれた。

oar_2_2.jpgその後、今度はとあるカセット・テープ屋に立ち寄った。そこの店先で出会ったのが、ザイヌッラー・ウマルザイーという人物で、彼はチトラーリー・シタールと呼ばれる楽器の演奏家でサウンドプロデューサーでもあった。チトラーリー・シタールはインド古典音楽で広く使われているシタールとは異なり、弦は2本のみで、棹が長くトルコのサズやイランのタンブーラにより形の近いリュート型の楽器である。彼は近くのレコーディング・スタジオで演奏を聞かせてくれ、別れ際にはお土産にと彼がプロデュースをした音楽テープをプレゼントしてくれた。

そして最後に出会ったのが、エージャーズ・サルハディーという演奏家で、彼はサーランギーというヴァイオリンに似た美しい音色を出す擦弦楽器の演奏家だった。この楽器は地域によって若干形状は異なるもののパキスタンだけでなく、インドやネパールでもよく演奏されている。この人はパキスタン国内でも割りと有名な演奏家らしく、Youtubeなどでも彼の演奏を聞くことが出来る。

http://www.youtube.com/watch?v=Ok37vOU7B5M&feature=related


oar_2_3jpg.jpgこれは帰国してから分かったことなのだが、実はこの人の父親はムニール・サルハディーという有名なサーランギーの古典演奏家で、「これは読んでおいた方が良いんじゃない?」といってたまたま教授から手渡されたパキスタンの民俗楽器についてウルドゥー語で書かれた研究書の中に彼の父親であるムニール・サルハディーの写真が掲載されていて本当に驚いた。よくよく考えてみれば、現地では私一人のためにサーランギーを演奏してもらい、その音色に酔いしれることが出来たのだから、非常に貴重で贅沢な体験だったんだなぁとなんとも言えない不思議な気持ちになるのであった。
(文:編集長 野上郁哉)
oar_2_4.jpg




MATA & BABY NU☆MAN

<   2010年10月   >
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
リンク
★☆模索舎ブログ☆★


連載/コラム

特集〜インタビュー・活動紹介など