Voice Of Mosakusha Online

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「世界の未来がわかるような本を紹介して欲しい」と言われた。どだい無理な話だと思いながらも、「やりましょう」と答える癖がついている。未来を読み通すことはできないが、それを変え(=参加し)てしまえば事後的に正解を確認できる日も来るだろう。
闘争の最小回路ー南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン』(廣瀬純、人文書院)は、その名のとおりラテンアメリカの社会運動の最前線を活写しつつ、人々の中に存在する、力の源泉として「最小回路」の可能性を考える。
 南米つながりでもう一冊。『ピノチェト将軍の信じがたく終わりなき裁判─もうひとつの9.11を凝視する』(アリエル・ドルフマン、現代企画室)は、アメリカに支援されてクーデターを起こしてアジェンデ大統領を殺害し、のちにイギリスで逮捕された独裁者ピノチェトに対する裁判の一部始終を、豊かな情感と鋭い問題意識の中で描き出す。
 世界ではいまも独裁政権下の地域が無数にある。たとえばロシア。エリツィン時代に始まった現代のチェチェン侵攻が悲惨を極めたのは、1999年以来のプーチン政権時代だった。民間人の頭上に落とされる爆弾、繰り替えされる人権侵害、10年間に20万人を越えるチェチェン人の死…。
 プーチンはピノチェトのように逮捕され、そしてスーダンのバシルのように
国際法廷で裁きにかけられるべきだ。
 チェチェン侵攻の闇をあばこうとした記者ポリトコフスカヤは、そのプーチ
ンの54歳の誕生日にモスクワの自宅で暗殺された。それまでの日々をつづった『ロシアン・ダイアリー─暗殺された女性記者の取材手帳』(アンナ・ポリトコフスカヤ、NHK出版)は、ロシアで何が起こっているのか、そして、チェチェン侵攻を放置すればどんなことが起こるのかを、私たちに突きつける。抑えた筆致から、ロシアの悲鳴が聞こえる。
 早い話、チェチェンはロシアの植民地である。そしてこの風景はどこかで見たことのあるもので、テレビをつけるとNHKでは本木雅弘主演でドラマ化された「坂の上の雲」が放送されているのを見るとき、日本が朝鮮を強制的に併合して今年が100年目であることは、知らされるだろうか、それとも隠されるのだろうか。過去を見なければ未来も考えられない。
 『司馬遼太郎の歴史観─その「朝鮮観」と「明治栄光論」を問う』(中塚明、高文研)は、書店を席巻する「司馬本」のなかで叛旗を翻す一冊。「少年の国」と表象される明治日本国家が、その裏側で犯した犯罪を、司馬がどれほどスルーして描いたかを知るために。日露戦争とは明治のプロジェクトXだ。こんなものに「癒され」ている場合ではない。世界は、同時に変革を求めている。

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チェチェン連絡会議の活動報告 ( http://chechennews.org/clc/ )

 私たちは何をやっているのだろう、こんなにチェチェンから遠いところで。
 チェチェンとは、ロシアとトルコ、イランの間に立ちふさがるコーカサス山脈の北側にある小さな民族共和国(日本で言うと県みたいなもの)で、国際的にはロシアの一部として通用している小さな国である。
 このチェチェン共和国が1991年に独立を宣言したために、94年からロシア軍による軍事侵攻が始まり、現在まで紛争が続いている。このチェチェン侵攻は、現代ロシアが抱える最大の問題といっていい。なぜロシアがチェチェンを手放したくないかといえば、それは石油資源うんぬんなどというよりも他の地域を独立させないため、要するにメンツの問題である。
 こんな紛争のために大勢の人の命が失われていることを憂慮した人々が結成したのが「チェチェン連絡会議」。個人が集まり、手弁当でさまざまな集会を企画している。2005年には、チェチェン問題を語らせたら世界的権威のジャーナリスト、アンドレイ・バビツキーを招待し、その後チェチェンの外科医ハッサン・バイエフの招聘にも参画した。
 メールによるニュースレター「チェチェンニュース」も発行しており、常に読者を募集中。(http://chechennews.org/chn/sub.htm を参照)
 しかしとにかく日本ではチェチェンについての関心が薄い! これは右翼/左翼を問わず。大手メディアには「ロシアを批判しない」という不文律でもあるのだろうか。
 現在、もっとも力を入れているのはチェチェン問題についてのアドボカシーと、日本に来ているチェチェン難民に対する支援活動。クルドやイランからの難民もそうだが、2008年に1599人の難民申請者に対して、認定者はわずか57人。わずか0.03%で、ほとんど庇護していないに等しい。こんな現状に異議申し立てをしていきたいと思っている。ぜひご支援を! 連絡先 clc@chechennews.org


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大富亮・チェチェン関連

そして戦争は終わらない 「テロとの戦い」の現場から
チェチェンやめられない戦争 報道されないロシアの現実
プーチニズム 報道されないロシアの現実

チェチェン民族学序説 その倫理、規範、文化、宗教=ウェズデンゲル
プーチン政権の闇 チェチェン戦争/独裁/要人暗殺
チェチェンで何が起こっているのか

〈DVD〉暗殺・リトビネンコ事件

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