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美容文藝誌 髪とアタシ



『拡張するファッション』

この本に出会ったのは代々木上原にある、とある古本屋だった。本を読む時のクセなのか、必ず最初に奥付を目にする。

 大好きな美容冊子、花椿の元編集者の方が書いた本だった。

 それから三往復ぐらい、最初から最後まで本をめくったあと、吸い込まれるように文章と写真にのめり込んでいった。ファッションはどこまでもファジーで、解釈の余白がある、現代アートのようなもの。肌感覚で今まで感じていた「ようなもの」が、見事に言語化されてヴィジュアル化された。自宅で珈琲をすすりながら、いきなり来たその感動を今でもしっかり覚えている。

 美容文藝誌 髪とアタシの第二刊は「拡張する美容師」。

林央子さんの背中を追うように、ぼくも拡張された一人として雑誌をつくろうと思ったのです。

いつからか「サラリーマン美容師」という言葉を耳にするようになって、この胸くそ悪い言葉にアンチテーゼを覚えていた。儲かろうと思った瞬間に、ものづくりの職人としての気概を失った瞬間に、美容師という職業はいとも簡単に陳腐化してしまう。

 美容師免許を取得するため「だけ」の美容学校の授業に、入学後、筆者はすぐに違和感を覚えた。現場に出たら到底役にも立たないようなことを徹底的に教え込まれ、国家試験に則った課題をクリアしていく。当然資格を取るため「だけ」の内容であるから、いざ21歳で美容師になったときの学校と社会とのイメージの乖離は起きる。就職率90%以上でも、1年以上の離職率は相当高いものだと。

 イメージしていた美容師像とはかけ離れている現実に、多くの友人美容師が離脱してきた。

理想と現実のギャップを埋め合わせるための努力は報われないことも多い。

しかし、その理想主義こそ失ってはいけない未来への架け橋だと思う。



 美容師である以上は、髪を切ること、お客を喜ばせることに一心になって働くものだと思うが、いつの日か「それだけ」の美容師になっていることがある(筆者もその経験を何度もしてきた)。そう感じたときに、どう自分を拡張していくか。美容×◯◯なのか、美容×△△なのか、はたまた☆☆なのか。

今は手先から先だけで生き残れる美容師像は、とっくに通り過ぎた。

そのことをなんとなく感じながら、でもどうすればよいのか?のスパイラルにはまっている。



 均一化されてきた美容師像に苛立ちを覚え、ビヨウカイの外側から一石投じたい。

髪とアタシはごく少数の美意識を持った美容師や、その周辺(マージナル)にいるモノヅクリの人たちに支えられて活動を続けている。美容師に対する今あるスタンダードなイメージを変えたい。

ファッションと同じように、美容も髪も拡張するタイミングが到来したと、確信している。

 

美容文藝誌 髪とアタシ
発行人/編集長 ミネシンゴ



美容文藝誌 髪とアタシ 第二刊

石巻、京都、神戸、沖縄、東京、NY。あらゆるところで拡張し始めた、新しい美容師の生き方を提示する。
[2014年9月/B5/76頁/¥900] 特集=拡張する美容師  発行=髪とアタシ編集部

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