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七年戦争〜オリンピックに抗するための



 ちょうど先日、ソウルオリンピックの際の立ち退きに密着したドキュメンタリーを見た。聖火がたった3分通るという理由で立ち退きを強いられた住民は、生活を共にしながら抵抗を重ねていた。それでも、彼らがみずから見つけた移転地にたてた小屋は役所によって無下もなく破壊される。
これは過去に起きたことに過ぎないという人もいるだろうが、近年、世界各都市で五輪開催を背景に、ジェントリフィケーション、地価高騰によって、あるいは、治安管理の強化や「環境浄化」の名のもとに、数百万人の貧しい

人々が追い立てられた。それを予見して、今回のオリンピック開催地候補であったイスタンブールでは暴動が起きた。
 

これから、私たちは先のソウルと同じような光景を目の当たりにするだろう。そう、2020年に開催される東京オリンピック。誘致の祝祭の裏には、惨たらしい現実が存在している。
既に、今回との東京での招致期間中にも排除が起こった。3月に国際オリンピック委員会(IOC)が東京に視察に訪れた際も、視察団バスが通る道沿いにある野宿者のテントや荷物が撤去されるなど、露骨な嫌がらせがすでにはじまっている。また、オリンピックスタジアム新築のために、都営住宅に暮らす高齢者たちも立ち退きを迫られている。
 

私は、二度の行政代執行を跳ね除けた江東区竪川河川敷公園にすむ野宿の仲間を支援する「竪川を支える会」に参加している。この江東区は、役所内に五輪準備部署を設けるなど、都内でも郡を抜いてオリンピックに前のめりの自治体である。東京開催が決定すると、区長は「江東区を『オリンピック都市・江東』にする」「『おもてなし江東』を実現する」とのたまっている。
 

その区長が率先して行ってきたのが、野宿の仲間の追い出しなのである。行政代執行や大量の警察とガードマンによる暴力的な強制排除、フェンス・鋼板による差別的な隔離など人権侵害を繰り返してきた。どうやら、この区長はよっぽどスポーツが好きらしい。「こども達や高齢者が日常にスポーツを楽しめる機会が、不法な利用により奪われることは決してあってならない」とも発言している。彼にとっては、野宿者の生活より「スポーツ」のほうが大切のようだ。これまでの都内の野宿者への追い出しを見ていくと、これはなにも江東区に限ったことではない。渋谷にある野宿の仲間が多く住む宮下公園をナイキパークとするために、排除が行われたのは、つい最近のことである。
 

実際、国立競技場の建て替えに伴い、明治公園が潰されることが発表されている。来年7月から工事が始める予定だが、すでに小屋で暮らす仲間のもとへ、都の職員が「立ち退け」といってきている。
 

「環境浄化」を名目とした排除といえば、東京スカイツリーの建設が決定して以来、近隣の隅田川、荒川、竪川がある複数の自治体で追い出しが起きた。川に沿いにあったブルーシートの小屋が少しづつ減り始めていき、警備員による嫌がらせなども頻繁に行われた。スカイツリーの建設の影では、私たちも知りえない数の野宿者が住まいを奪われているのである。これ以上のことがオリンピック開催を契機に行われるだろう。もちろん、それに唯々諾々と従うわけではない。この間も、「反五輪の会」の人々とともにオリンピックに対する反対行動に参加してきたが、これからも、それぞれの現場で、様々な形で抵抗を続けていくだろう。
 

外国から来る選手、日本まで見物にくることができる一部の人間、かれらを「もてなす」ためには、誰かが犠牲になるのはごめんである。私たち「もてなされる」価値のないものたちは、この勘違い甚だしい「もてなし」のための排除に徹底的に抗うだろう。2020年までの7年間の戦争は、すでにはじまっている。


(竪川を支える会 H)



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