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閑居と呼ぶしかない日々を「神様がくれた夏休み」にパラダイムシフトして、家に籠って好きなだけ本を読んでいるうちにアイディアが湧いてきて像を結び「今、もっともやりたいこと」が見えてきたのが二月のこと。
それらがリドリー・スコットの映画よろしく地面からもやのように立ち上ってきて、むわむわむわとかたちになったのが、純粋個人雑誌『趣味と実益』だ。
むわむわの中には中里介山がいる。
蝶花楼馬楽がいて、きだみのるがいて、明治の演歌師がいる。
それらをとりまとめるべく宮武外骨がいる。
いわゆる明治の奇人と呼ばれる彼らを見習って「自分中心主義」を貫徹するのが、本誌の趣旨である。
「純粋個人雑誌」というのは中里介山の個人雑誌『峠』のサブタイトルだ(正式には「中里介山純粹箇人雜誌 峠」)。
介山は『大菩薩峠』という大著を生涯書き続けた多忙の身でありながら、印刷機を買い入れて隣人之友社を立ち上げ、大量の書籍やパンフレットや雑誌を自費出版した。その意気にあやかろうと思ったのがひとつ。
「趣味と実益」という言葉は宮武外骨「滑稽新聞」のキャッチコピーで、カットや各項目の題字などもここから拝領した。
このタイトルの解釈を、本誌二ページ目「口上」に於いて、雑誌創作=「趣味」、本誌の売上げ=「実益」と位置づけたが、それは表向きのこと。
一冊五〇〇円が一〇〇部売れたとてたった五万円では実益にほど遠く、趣味で作るには手がかかるわけで、なんのことはない、雑誌販売が趣味(酔狂)で、作成が実益(精神衛生上の)なのである。
明治の昔、辻々でバイオリン片手に風刺歌を歌っていた演歌師はザラ紙に印刷した歌詞を売って生活していたが、通りがかりの人が投げ銭をすると「乞食ではない。歌詞を売っているのだから歌詞を買え」と怒ったという。
わたしも演歌師の気持ちで売りたいと思っている。

純粋個人雑誌『趣味と実益』が扱うのは物語である。
読んで何かを感じても良し、感じなくても良し。
どこから読んでもいいし、どう読んでもいい。こんな人がいた、こんなことがあった、もしくは執筆者はこう思った、というだけのことである。
それらによってなんとなく気分が楽しくなってもらえれば本望である。
内容は、平安時代から現代まで落書(らくしょ)の歴史を総まくりする「落書」、明治の奇人に自分中心主義を学ぶ「明治奇人生活誌」、兎吉(ぬいぐるみ)のお見合い相手募集の「つりがき」、電話にまつわる奇妙な話を集めた「電話奇譚」、初めての場所を探検する「剽碌お目見得探検」、言葉で現代を探る「当世流行語辭林」、その他「不真面目広告」「自分中心俚諺集」漫画「すかたん商會」などなど。
今後は三ヵ月に一冊、年四冊を目処に出すつもりでいる。

純粋個人雑誌『趣味と実益』、どうぞ、ご贔屓に。

平山 亜佐子




趣味と実益 純粋個人雑誌

[2011年5月/B5/20頁/¥500] 編/発=平山 亜佐子 発行=趣味と実益社

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