模索舎store
当ページに掲載されていない商品も多数ございます。 右の「サイト内検索」でお探しになるか、電話、 メールにてお問い合わせください。

[2019年11月/四六判/254頁/¥2,500+250] 
著=戸田輝夫 
発行=高文研

目次:
はじめに
I.『蟹工船』執筆の「意図」
1.周到な事前調査の下にすすめられた執筆
2.蔵原惟人宛ての手紙で明かした創作意図

II.描かれた『蟹工船』の世界
1.発売禁止にされた『蟹工船』掲載の『戦旗』六月号
2.国際的な広がりで読まれた『蟹工船』
3.作品の「意図」とは無縁な疑念と批判に応えている描写力

III.なぜ「蟹工船」を作品の舞台に選んだか
1.「蟹工船」の労働現場と「労働者の結合」過程の形象化
2.「蟹工船」操業の国家産業的な特徴と「地獄」の労働環境
3.「虐使」される漁夫・雑夫たちの出身階層と雇用の内情
4.形象化を宣した「労働者の結合」の道程

IV.戦前の出版物検閲の実情と多喜二虐殺の前後
1.繰り返された発売禁止の処分
2.多喜二虐殺を追悼して出版された二冊の伏字文庫の本
3.多喜二の死を悼み、鎮魂に生きる大月源二
4.一八六九(明治二)年から始まる出版物の検閲
5.帝国政府発足早々の出版条例公布のねらい
6.作家多喜二の挑戦と苛烈をきわめる検閲処分

V.内務大臣の出版物発売頒布禁止権とその「検閲標準」の内幕………
1.予定されていた出版物法案の「七項目」
2.「七項目」を下敷きにしたマル秘「検閲標準」の全貌
3.行政処分の内情と検閲業務の実態

VI.伏字は『蟹工船』の「意図」をどこまで覆い隠せたか
1.多喜二の死後も続く作品の発売禁止
2.改造文庫版『蟹工船』(三三年五月)にみる伏字の実態とその効用
(1)一字も残さず伏字にされた箇所の性描写とその皮相な処分理由
(2)なぜ「風俗壊乱」が「安寧秩序を紊乱する」取り締まりの対象になったのか
(3)「不敬」に問われた二つの場面と描写
(4)なぜ「帝国軍隊」の用語や文言をすべて伏字で覆い隠したりするのか
(5)資本家の利益追求への偏向した検閲の眼差し
(6)国名の伏字処理にみられる傲慢な国際感覚
(7)労働現場の暴力的管理をめぐる表現箇所をどう検閲処理しているか
(8)作者の創作「意図」と検閲作業とのせめぎ合い
(9)伏字の措置にみられる権力の思惑

VII.伏字にされた『蟹工船』の作品世界はどうなったか

付録 『蟹工船』収載の新潮文庫版と改造文庫版にみる伏字の異同一覧
小林多喜二『蟹工船』関係略年譜
参考文献
あとがき